ハツカネズミや蛇、虫 小動物を使った拷問とは
ハツカネズミや蛇、虫 小動物を使った拷問とは, 拷問。見るからに恐ろしい言葉ですが、拷問が国際的に禁止されるようになったのは近代に入ってからのことで、かつては世界各地で取り調べなどのために度々拷問が行われていました。今回はその中から、小動物を使った拷問をご紹介します。
15~18世紀のスペインやオランダでは、異端審問の中で「鍋責め」という技法が発案されました。これはハツカネズミを利用した拷問で、古代にも似たような技法の拷問が存在したとされています。 「鍋責め」では、まず、犠牲者をあお向けに寝かせて縛り付け、その腹部を露出させます。次に、大鍋の中にハツカネズミを何匹も入れ、逆さにして腹部に被せます。中世期のヨーロッパでは、ネズミを介してペストが大流行し、多くの人が亡くなっていました。そのため当時の人にとっては、ネズミが腹の上を動き回るだけでも充分に恐ろしい拷問だったことでしょう。 さらに鍋の上で火が焚かれると、その熱が鍋の中まで伝わり、ネズミたちは逃げ場を求めて激しく動き回ります。硬く熱い鍋で閉ざされた空間の中で、唯一の逃げ場となるのは犠牲者の身体の中でした。こうして犠牲者の腹部は何匹ものネズミの鋭い歯によって穴を開けられ、内臓を食い破られてしまうのです。
ネズミを使った拷問は中国にも存在していました。壺の中にネズミをたくさん入れ、その上に下半身をむき出しにした犠牲者を座らせるという方法です。壺を熱すると、ネズミは逃げ場を求めて激しく動き回り、肛門を食い破って犠牲者の体内へ入り込もうとします。 ヨーロッパの「鍋責め」も、この中国の拷問も、多くの場合は犠牲者に致命傷を与えることとなりました。
かつて日本でも行われていた「蛇責め」
続いて、蛇を使った拷問方法をご紹介しましょう。 他に世界共通で拷問処刑に利用された動物が蛇である。蛇は毒を持っているために、確実に罪人を処刑したい場合にもよく使われた。 『拷問の歴史』p.25蛇を使った拷問処刑方法は日本にも存在し、蛇には穴に潜り込むという習性があることから、鎌倉時代には蛇を口から入れる「蛇責め」が行われたといいます。 他にも、樽や桶に蛇をたくさん入れ、そこに犠牲者を放り込んで蓋をするという方法も使用されました。この方法は古代中国で考案されたといわれ、犠牲者は全身を蛇に噛みつかれる上、口などから体内にも蛇が侵入し、苦しむことになりました。日本でも、江戸時代に加賀藩藩主・前田利常が妻の乳母をこの方法で処刑するよう命じたという話が残されています。千利休の妻子に対してもこの拷問が行われたという話もありますが、こちらは噂話にすぎないようです。
ハチや蟻 虫も拷問の道具に使われた
最後に、虫を使った拷問方法をいくつかご紹介しましょう。
ローマには、犠牲者の身体に蜂蜜を塗り、吊りカゴに入れて野外に放置するという拷問がありました。蜂蜜につられて寄ってきたハチたちに刺され、犠牲者は苦しむのだといいます。
似たような拷問に、犠牲者の顔に蜂蜜や牛乳を塗り、身体を樽などに詰めて野外に放置するという技法もあります。前述の拷問と同様に、犠牲者の顔にはハチなどの虫がたかります。さらにこの方法では、犠牲者には定期的に食事が与えられるのですが、排泄を行う場所はないため、犠牲者の排泄物が樽の中に溜まり続けることとなりました。その結果、犠牲者の身体はみずからの汚物の中で腐り、そこにも虫やネズミなどの動物が群がるという悲惨な結末を迎えるのです。
また、中南米やアフリカ、東南アジアの一部では、犠牲者を縛り、軍隊アリの通り道に放置するという方法が行われました。 こうしてみてみると、虫を使った拷問方法では、犠牲者の身体を身動きできないようにして放置することが多いといえそうです。
このように、人間は自身よりも小さな生き物も、時には恐ろしい拷問の道具として使用してきました。拷問は犠牲者となった人々だけでなく、道具として使われた小動物にとってもまさに悪夢のような事態だったと言うより他ありません。
ライターからひとこと
今回はご紹介しきれませんでしたが、他にもライオンや犬、ゾウなど、様々な動物を使った拷問が存在し、中には19世紀に入るまで執行され続けていたものもあったといいます。本書では動物刑以外にも多種多様な拷問の歴史が紹介されています。ちょっと怖いけれど忘れてはいけない「陰の歴史」を振り返ることができる一冊です。