画家ミレーの作品をご紹介!自然を愛し農民を描き続けた理由とは
画家ミレーの作品をご紹介!自然を愛し農民を描き続けた理由とは

画家ミレーの作品をご紹介!自然を愛し農民を描き続けた理由とは

19世紀の写実主義の画家、ジャン・フランソワ・ミレーは、『落穂拾い』や『晩鐘』、『種まく人』などで有名ですが、フランスのバルビゾン派と呼ばれる農民画家として活躍しました。 また、ミレーの作品は、印象派をはじめゴッホ、ダリなど、多くの画家にも...

ジャン・フランソワ・ミレー『羊の毛を刈る女』1852-53年,キャンバス,油彩,40.7cm×24.8cmボストン美術館 ジャン・フランソワ・ミレー『パンを焼く農婦』1853-54年,油彩,キャンバス,55×46cmクレラー・ミュラー美術館 ジャン・フランソワ・ミレー『木こり』1855年,キャンバス,油彩,38×30cm,ルーブル美術館 ジャン・フランソワ・ミレー『クーザン村』1854-73年,キャンバス,油彩,73.2cm×92.4cmランス美術館

ミレーの評判がアメリカで高まり、作品の購入や支持者が現れる ジャン・フランソワ・ミレー『刈り入れ人たちの休息』1851年-53年,油彩,キャンバス,67.3cm×119.7cmボストン美術館

1853年にサロン展に出品し、入選したこちらの『刈り入れ人たちの休息』は、 旧約聖書の「ルツ記」のエピソードが描かれた作品 です。

パリ万博に出展、バルビゾン派が認められるも、ミレーの作品は評価が分かれる 古代ローマの詩人ヴェルギリウスの一節をモチーフにした作品。ジャン・フランソワ・ミレー『接ぎ木をする農夫』1855年,キャンバス,油彩,81×100cm,ノイエ・ピナコテーク美術館

1855年パリで万国博覧会が開催され、 バルビゾン派の画家の評価は世間的に認められる 形になりました。

しかしミレーの描く農民という労働者階級を主題にした絵画は、批評家からは 政治的意図がある ように見られ、思うように評価が上がりませんでした。

この作品はサロンに落選しますが、後にゴッホやオランダ人画家に影響を与えた作品となります。

祖母の思い出を元に描いた『晩鐘』 ジャン・フランソワ・ミレー『晩鐘』1857-59年,キャンバス,油彩,55.5×66cmオルセー美術館

ミレーが幼い頃に 祖母が夕暮れ時の鐘の音を聞いて、死者のために祈りを捧げていた一場面の記憶 を元に描かれました。

ミレーの代表作『落ち穂拾い』 ジャン・フランソワ・ミレー『落穂拾い』1857年,キャンバス,油彩,83.5cm×110cmオルセー美術館

1857年のサロンに出展し、入賞を果たしたこちらの『落穂拾い』 は、ミレーの中でも傑作と言える作品です。

しかしミレーが生きていた背景の農民たちは、 産業革命などによって農村が困窮し、食べていけなくなった農民たちが、スラム街に流入して悲惨な状況に陥っていた時代 でした。

安定した収入を得られるようになった40代後半、母性愛がテーマとなる ジャン・フランソワ・ミレー『ミルク粥』1861年,キャンバス,油彩,114×99cm,マルセイユ美術館

「清貧の農民画家」 と呼ばれていたミレーは、9人の子供を抱え、弟子も2人取るという大所帯を抱えていたミレーは、絵が売れるようになっても 生活は決して豊かにはなりません でした。

王立のサロン展で『羊飼いの少女』が一位を獲得する サロンで一位を獲得し入賞した作品。ジャン・フランソワ・ミレー『羊飼いの少女』1863年,キャンバス,油彩,81×101cmオルセー美術館

1864年のサロン展に出品した 『羊飼いの少女』はサロンで一位を得る ことができました。

ジャン・フランソワ・ミレー『春(ダフニスとクロエ)』1865年,キャンバス,油彩,235.5c×134.5cm,国立西洋美術館 ジャン・フランソワ・ミレー『夏(豊穣の女神)』1864-65年,キャンバス,油彩,266×135cm,ボルドー美術館 ジャン・フランソワ・ミレー『冬(凍えたキューピッド)』1864-65年,キャンバス,油彩,205×112cm山梨県立美術館

確固たる地位を確立した晩年。サロンの審査員としても選出される。

ジャン・フランソワ・ミレー『グリュシーの村はずれ』1866年,キャンバス,油彩,81.6×100.6cmボストン美術館

晩年のミレーは、 愛する故郷に思いを馳せ、風景画を描くことが多くなっていきました。

1870年には、念願だったサロン展の審査委員に選ばれ 、それ以降はサロンに出展することはなくなりました。

ゴッホにも深く感銘を与えた作品。ミレーの絶頂期に忍び寄る不穏な印象がありますね。ジャン・フランソワ・ミレー『鳥のいる冬景色』1862年,キャンバス,油彩,60.3×73.6cmオーストラリアギャラリー ジャン・フランソワ・ミレー『ガチョウ番の少女』1866-67年,キャンバス,油彩,45.7×55.9cm東京富士美術館 祖母との思い出の教会ジャン・フランソワ・ミレー『グレヴィルの教会』1871-73.4cm,キャンバス,油彩,オルセー美術館 1869年サロン展で入選。ジャン・フランソワ・ミレー『編み物の手ほどき』1869年,キャンバス,油彩,101.3×83.2cm,セントルイス美術館 妻の湯治で行ったのどかな村を描いた。ジャン・フランソワ・ミレー『オーヴェルニュの山の牧場』1866-69年,キャンバス,油彩,81.5×99.9cm,アートインスティチュートオブシカゴ

普仏戦争の勃発、そして体調の悪化により制作活動に支障をきたす

サロンの審査員としての選出、そして大口の顧客から連作の注文が入るなど、ミレーの画家としての成熟期に達した1870年、 普仏戦争によって制作が中 断 してしまい、ミレーは故郷に疎開します。

亡き友への鎮魂の作品を制作。そしてミレーが死ぬ間際に妻のカトリーヌと結婚式を挙げる ジャン・フランソワ・ミレー『松明での鳥の猟』1874年,キャンバス,油彩,73.7cm×92.7cm,フィラデルフィア美術館

最晩年のミレーは、 死を連想させるような題材を多く描く ようになっていきました。

虹がかかって理想郷のように描かれている『春』は、全景を暗く描き、光景を明るくすることによって遠近感を出す手法 「ルプソワール」 が使われています。

かつて 画家として友情を育んだ盟友ルソーへの、鎮魂を込めて描かれている ようです。

ジャン・フランソワ・ミレー『夏、蕎麦の収穫』1868年,111.1cm,×85.4cm,キャンバス,油彩,ボストン美術館 ジャン・フランソワ・ミレー『秋、積み藁』1874年,油彩,板,85.1×110.2cm,メトロポリタン美術館 ジャン・フランソワ・ミレー『冬、まきを運ぶ女性』1968年,キャンバス,油彩,82×100cmウェールズ国立美術館

人気の高かったミレーのパステル画 ジャン・フランソワ・ミレー『グレヴィルの断崖』1871年,紙にパステル,43.7×54.1cm大原美術館

ミレーは フランスでは最もパステル画に精通していた画家の一人 で、コレクターから継続的に買い取る契約を結び、数々の秀作を描いていました。

ジャン・フランソワ・ミレー『生まれたての子羊』1866年,パステル,紙,40.4×47.1cm,ボストン美術館 ジャン・フランソワ・ミレー『小麦の小道』1867年,灰色の紙にパステルと黒のコンテボストン美術館 ジャン・フランソワ・ミレー『歩き始め』1858-66年頃,黒チョーク,パステル,紙,29.5×45.9cm,クリーヴランド美術館 ジャン・フランソワ・ミレー『雁を見上げる羊飼いの少女』1865年,パステル,紙,58×41.6cm山梨県立美術館 ジャン・フランソワ・ミレー『たんぽぽ』1867-68年,パステル,紙,ボストン美術館 ジャン・フランソワ・ミレー『水仙とすみれ』1867年頃,40×50cm,パステル,ハンブルク美術館

画家ジャン・フランソワ・ミレーが後世に遺したもの

ゴッホにも影響を与えたアルフレッドサンスイエが書いたミレーの伝記 ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ『種をまく人』1888年,油彩,キャンバス,64×80.5cm,クレラー・ミュラー美術館

まとめ

農民を愛し、バルビゾンと故郷の豊かな自然を愛し、家族や友人を愛したミレー。

  • 参考文献:
  • ミレーの生涯 (角川ソフィア文庫) 著:アルフレッド・サンスィエ、 井出 洋一郎
  • デジタルで見る絵画 ミレー フランスの画家 傑作作品集 デジタル美術館シリーズ Kindle版
  • 「農民画家」ミレーの真実 著:井出洋一郎 NHK出版新書
  • もっと知りたいミレー 生涯と作品 著:高橋明也 監修 安井裕雄 著
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