「レズ風俗」の「男性向けサービス」に批判の声。問題は、サービスだけではない
先日、とある「レズ風俗」を名乗るお店が、女性キャスト同士の性的な行為を男性も含む客に鑑賞させるサービスを提供したことに対して、一部で批判が起こった。しかし、問題はそのサービスだけではないと、ライターの富岡すばるさんは指摘する。
また、冒頭の「鑑賞サービス問題」が象徴するように、「レズ」という存在が異性愛者の男性向けポルノの一ジャンルとして消費されてきた点も忘れてはならない。先日書いた記事「女性が『ゲイの友達』をほしがる現象の裏にあるもの」でも触れたが、女性同性愛者の人から「女性が好きだと言うと、逆に男性から言い寄られる」という話はよく聞く。男性同性愛者には「ゲイと友達になりたがる女性」が近づいてくるのに対し、女性同性愛者には「レズビアンとセックスしたがる男性」が近づいてくるのだ。
〔PHOTO〕iStock蔑称を当事者が使う意味
ただ、こういった差別的な蔑称は、非当事者が使うと当事者の尊厳を傷つける言葉になるが、当事者が使った場合、それはまったく違う意味を持ち得る。
その例として、今年全米1位を記録するヒットとなったこの曲を挙げたい。カーディ・Bとメーガン・ザ・スタリオンという二人の人気女性ラッパーがコラボレーションした、『WAP』という曲なのだが、歌詞内で女性器の呼称である「プッシー」という単語を連呼しているのだ。
「女性とヒップホップは目の敵にされる」という発言をし、業界内における女性蔑視に声をあげてきたカーディ・B。そして、『WAP』の後に『Body』という曲を出し、「私は自分の体を愛している。誰のものでもない」というボディ・ポジティブなメッセージを発信しているメーガン。そんな彼女たちがタッグを組み、女性器の呼称を掲げながら、「料理はしない」「食物連鎖では私が食べる方」というリリックを繰り出すこの曲には、彼女たち流のフェミニズムを感じる。
この発言に怒った女性たちがプッシーハットと呼ばれる猫耳型のニット帽をかぶり(プッシーには子猫という意味もある)、女性の権利を訴えるデモが行われた。その参加者の中には「プッシー・パワー」と書かれたプラカードを持つ人もおり、彼女たちがこの言葉に誇りを持っていることがわかる。
黒人アーティストであるアイス-Tは、「なぜ白人が黒人をNワードで呼ぶとやりこめられるのに、黒人同士で呼び合うのはOKなのか」という質問をTwitter上でぶつけられ、こう答えている。
「その言葉があなたに当てはまらないなら使うな。例えば、あなたが太っていないのであれば他の人を太っていると呼ぶな。あなたがゲイでなければ、ゲイの人が互いに呼び合う言葉に近寄るな。その言葉があなたに当てはまらないのなら使うな」
〔PHOTO〕アイス-TのTwitter(@FINALLEVEL )よりこの社会においてマイノリティであることは、言葉を奪われることでもある。 時に、LGBTやBlack Lives Matterという言葉は「左翼の活動家」の合言葉のように曲解され、フェミニストという言葉は「男性に相手にされない女性」のような意味合いで揶揄される。そして本来の呼称を奪われ、別の蔑称をつけられる。
非当事者ができる唯一の正しいこと
こうした、差別用語の取り扱いをややこしいと感じる人もいるだろう。当事者の中には、蔑称を気にしないという人、見るのも聞くのも嫌だという人、当事者が使うのは良いが非当事者には使われたくないという人など、いろいろいる。それら全ての人間を尊重するのなら、非当事者が選べる道はひとつしかない。差別用語を使わない──それだけだ。