八木重吉 「花がふってくると思う」「花」「桜」「陽遊」「豚」(詩集『貧しき信徒』より)
八木重吉 「花がふってくると思う」「花」「桜」「陽遊」「豚」(詩集『貧しき信徒』より)

八木重吉 「花がふってくると思う」「花」「桜」「陽遊」「豚」(詩集『貧しき信徒』より)

花がふってくると思う花がふってくると思う花がふってくるとおもうこの てのひらにうけとろうとおもう花おとなしくして居いると花花が咲くのねって 桃子が言う桜綺麗な桜の花をみているとそのひとすじの気持ちにうたれる陽遊かげろうさすがにもう春だ...

春と赤ン坊 菜の花畑で眠つてゐるのは…… 菜の花畑で吹かれてゐるのは…… 赤ン坊ではないでせうか? いいえ、空で鳴るのは、電線です電線です ひねもす、空で鳴るのは、あれは電線です 菜の花畑に眠つてゐるのは、赤ン坊ですけど .

室生犀星 「三月」「ふるさと」「寂しき春」(詩集『抒情小曲集』より)

三月 うすければ青くぎんいろに さくらも紅く咲くなみに 三月こな雪ふりしきる 雪かきよせて手にとれば 手にとるひまに消えにけり なにを哀しと言ひうるものぞ 君が朱なるてぶくろに 雪もうすらにとけゆけり ふるさと .

金子みすゞ 「星とたんぽぽ」「露(つゆ)」「暦と時計」(『金子みすゞ全集』より)

星とたんぽぽ 青いお空の底ふかく、 海の小石のそのように、 夜がくるまで沈んでる、 昼のお星は眼にみえぬ。 見えぬけれどもあるんだよ、 見えぬものでもあるんだよ。 散ってすがれたたんぽぽの、 瓦のすきに、だァまって、.

室生犀星 「はる」「桜咲くところ」「万人の孤独」「蒼空」(詩集『愛の詩集』より)

はる おれがいつも詩をかいてゐると 永遠がやつて来て ひたひに何かしらなすつて行く 手をやつて見るけれど すこしのあとも残さない素早い奴だ おれはいつもそいつを見ようとして あせつて手を焼いてゐる 時がだんだん進んで行く .