【旅に病んで夢は枯野をかけめぐる】俳句の季語や意味・表現技法・鑑賞文・作者など徹底解説!!
【旅に病んで夢は枯野をかけめぐる】俳句の季語や意味・表現技法・鑑賞文・作者など徹底解説!!

【旅に病んで夢は枯野をかけめぐる】俳句の季語や意味・表現技法・鑑賞文・作者など徹底解説!!

五・七・五の十七音に詠み手の心情や風景を詠みこむ「俳句」。 最近ではテレビ番組でも取り上げられ、趣味として楽しむ方も増えてきています。 俳句と聞けば、かの有名な俳人「松尾芭蕉」の作品を思い浮かべ

五・七・五の十七音に四季を織り込み、詠み手の心情や情景を詠みこむ俳句。 名句と聞くと、の作品を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか? 秋田便の飛行機から見る月山が好きです。 今日は残念ながら雲に隠れていましたが、松尾芭蕉の句を思い出しました。 雲の峰 いくつ崩れて 月の山 pic.twit.

また「旅に生きた人」でも知られており、日本各地を俳句を詠みながら旅をしました。紀行文学の最高傑作とも称される 『奥の細道』 など、 5 つの旅行記を残しています。

【奥の細道とは】簡単にわかりやすく解説!!内容や時代背景・詠まれた俳句など

五・七・五の十七音に四季を織り込み、心情や風景を表現する「俳句」。 そのなかでも、の俳句は有名です。国語の授業でおなじみの方も多いかもしれません。 昭和16年の時代の国語の教科書を買った!すごい、昔の人はこれで勉強していたんだ、 なんとも不思議な感覚。 さっそく「奥の細道」から📖.

季語

この句に含まれている季語は 「枯野(かれの)」 で、季節は 「冬」 を表します。

枯野とは、 霜が降り草木もすっかり枯れ果てた冬の野原 を意味しています。

意味

こちらの句を 現代語訳 すると・・・

「旅の途中、病床に臥しながらも、夢に見るのは今なお枯野を駆け巡る私自身の姿であったことだ」

この句が詠まれた背景

芭蕉は 51 歳の頃、弟子達のいさかいを仲裁するため江戸から西方に旅に出ました。旅中、体調を崩した芭蕉は投宿した大坂の宿で休みますが、一向に回復しませんでした。日に日に病状は重くなり、そのまま亡くなってしまいます。

この句は 亡くなる 4 日前に詠んだもので、芭蕉が残した生前最期の句 となりました。死の直前にあっても旅や俳句を思う情念を素直に表現しており、辞世の句だとも言われています。

芭蕉ほどの俳人がわざわざ「病」を重ねたのは、あくまで病気中に吟じた句だということを強調していたのではないか。つまり、芭蕉本人はこの句を詠んだ時点では、 自分にとっての辞世の句であるという認識はなかった と考えられています。

また芭蕉の生前、辞世の句を書き取りたいと望む門人達が多くいました。それに対し芭蕉は 「平生即ち辞世なり」(常日頃から一句一句を辞世のつもりで詠んでいる」 と答えています。

「芭蕉終焉の地」 大阪かなしい遺産・御堂筋久太郎町 「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」 無学で恥ずかしい限りですが、俳人・松尾芭蕉の亡くなられた場合が大阪で、しかもこんな御近所にあったとは知りませんでした。しかしその碑の建ってる場所たるや!御堂筋の分離帯の中😱なんとかなりませんかね。 pic.twitter.com/hcpVusRQlj

— 武田善行 Yoshiyuki Takeda (@takechantakeda) October 26, 2018

「旅に病んで夢は枯野をかけめぐる」の表現技法

「旅に病んで」の字余り

日本人が古くから心地よいとされる七五調の響きをあえて壊すことで、読み手に違和感を与え、 字余りの言葉が持つ意味を強調する効果 があります。

この句において「旅に病んで」と字余りでリズムを崩したことで、 旅を途中で病に臥した無念さを強調したかったと汲み取ることができます。

句切れなし

今回の句も 「句切れなし」 にあたり、下五に感動の中心をおいています。

「かけめぐる」と動詞で言い切ることで、 元気だった頃の生き生きとした姿や躍動感が効果的に表現されています。

「旅に病んで夢は枯野をかけめぐる」の鑑賞文

病床に臥してもなおやまない旅と俳句への執着がにじみ出ており、読むたびに心を打たれます。

この句に詠みこまれた芭蕉の心情には、 二つの解釈 があります。

ひとつは、夢の中では自由に駆け回ることができるのに、現実の私は病に倒れもう旅に出ることができないという 悲観的な解釈 です。草木が枯れた冬の野原が舞台となっていることからも、芭蕉の旅も終わりに近づいてきていると感じるでしょう。

もう一方で、今は旅の途中で病に臥しているが、まだ夢の中では以前と同じく枯野を駆け回っているという 希望が込められているという解釈。

「旅に病んで夢は枯野をかけめぐる」の補足情報

句の推敲

芭蕉はこの句を 2パターン 考えていました。

此夜深更におよひて介抱に侍りける呑舟をめされ、硯のおとからからと聞えけれは、いかなる消息にやと思ふに、

病中吟

旅に病て夢ハ枯野をかけ廻る 翁

其後支考をめして、なをかけ廻る夢心といふ句つくりあり。いつれをかと申されけるに、其五文字はいかに承り候半と申さは、いとむつかしき御事に侍らんと思ひて、此句なににかおとり候半と答へけるなり。いかなる微妙の五文字か侍らん。今はほいなし。」

【訳】

「この夜(十月八日)おそくなってから呑舟をお呼びになって、その後硯を磨る音がからからと聞こえたのでどうしたことかと思ったら、

病中吟

旅に病て夢は枯野をかけ廻る 翁

と書かせられた。その後支考を呼ばれ、「なをかけ廻る夢心」と考えたのだが、どちらがいいだろうと言われた。上五はどうなるのでしょうかと聞きたかったが、体調が悪いのに余計な心労をかけてはまずいと、この句でどこが悪いことがありましょうかと答えた。しかし「なをかけ廻る夢心」が入ったら、どんな上五になったことだろう。今となっては聞くことも出来ずどうしようもない。」

推敲を繰り返し、弟子に感想を聞いていることから、芭蕉にとっては「辞世の句」ではなく あくまで病に伏している時の句である という気持ちが伺えます。

「旅に病んで」の後の俳句

一から詠んだのはこの「旅に病んで」の句が最後ですが、実は翌日に芭蕉は 自分がかつて詠んだ俳句の推敲 を行っています。

「大井川 波に塵なき 夏の月」

「清滝や 波にちりこむ 青松葉」

「白菊の 目にたてて見る 塵もなし」

というものがあり、「ちり」という言葉が共通する 「大井川」の句との類似性に悩んだため でした。

「白菊の」の句を詠んだのは病床に倒れる直前の元禄 7 年 9 月 27 日だったため、倒れてもなお「大井川」の句の推敲を重ねていたことがわかります。

この 2 つの句は江戸時代初期の 「木下長嘯子(ちょうしょうし)」 の詠んだ下記の歌が根底にあったと言われています。

「大井河 岸の岩ほに さく花を 波のあやしと めにたててみる」

2つの芭蕉の俳句は元になった和歌と共通したモチーフがあり、それだけに「大井川」の句のことを死の 3 日前まで気にしていて「清滝や」と改作していたのでしょう。

作者「松尾芭蕉」の生涯を簡単にご紹介!

松尾芭蕉( 1644 ~ 1694 年)の本名は松尾宗房(むねふさ)といい、伊賀国(現在の三重県)に生まれました。

農民の生まれだとされていますが、 13 歳の頃に父を亡くし、暮らし向きは決して豊かではありませんでした。 10 代後半の頃から京都の北村季吟に弟子入りし、俳諧の世界に足を踏み入れます。

芭蕉といえば「旅」に出て俳句を詠むイメージが強いかもしれませんが、実は日本各地を訪れるようになったのは 40 歳を過ぎてからでした。

江戸で俳諧師としても成功を収めるものの、 46 歳の時に「芭蕉庵」と呼ばれていた草庵を捨て「奥の細道」の旅に出ます。

江戸から東北・北陸をめぐり、岐阜の大垣で終着を迎える工程は、約 2400km にものぼるといわれています。

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  • 1 「旅に病んで夢は枯野をかけめぐる」の作者や季語・意味・詠まれた背景
    • 1.1 季語
    • 1.2 意味
    • 1.3 この句が詠まれた背景
    • 2.1 「旅に病んで」の字余り
    • 2.2 句切れなし
    • 4.1 句の推敲
    • 4.2 「旅に病んで」の後の俳句

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