「天王星」と「海王星」の “真の色” を確定 色から見る大気の詳細な情報
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「天王星」と「海王星」の “真の色” を確定 色から見る大気の詳細な情報

惑星の外観について、「天王星は空のような薄い青色」「海王星は海のような深い青色」というイメージが一般的と思われます。しかし、公開されている天体の画像は様々な事情で補正がかけられていることもあるため、実際に人間の目で見た状況を正確に反映しているとは限りません。

補正がかけられた画像には、その内容を示す注釈が必要であり、実際に当初は、海王星の画像も色の変更に関する注釈付きで公開されました。ところがいつごろからか、注釈が付かない画像が掲載されることが多くなり、現在では海王星の真の色は深い青色であるかのようにイメージが定着したと考えられます。これは一般向けの天文系サイトでも同様であり、例えばNASAの海王星に関するページでは “Big blue” や “rich blue color” と表現する一方で、画像補正については触れていません。

■天王星と海王星の “真の色” を特定

Irwin氏らは、肉眼で見た場合に最も近い天王星と海王星の “真の色” は、どちらもわずかに緑色を帯びた淡い青色であると確定しました。海王星は天王星と比べてやや青色が強いものの、一般的に知られている深い青色とは程遠い色味です。それでも現れたわずかな青色の違いは、天王星と比べて海王星の方が大気中に含まれるもや(ヘイズ)の層が薄く、それだけ大気の深部まで入り込みやすい光から赤色や緑色の波長が吸収されていることを示しています。もやの影響は、今回のモデルでも盛り込まれています。

【▲図3: 一般的に知られている画像と、今回の研究で示された “真の色” をそれぞれ比較したもの。特に海王星は大きな違いが表れています(Credit: Patrick Irwin, University of Oxford / 日本語意訳は筆者 (彩恵りり) による)】

■天王星の色の変化から見る大気の様子

天王星の自転軸は公転面に対して約98度と横倒しとなっているため、文字通り “転がって” 太陽の周りを公転します。地球から観察すると、天王星が夏至や冬至の時期には主に極地が見えるのに対し、春分や秋分の時期には主に赤道が見えることになります。天王星の “1年” は地球の84倍であり、季節も84倍長く続くことから、天王星の季節の変化は長期的な色の変化として観察されます。

【▲図4: 2014年から2022年にかけてハッブル宇宙望遠鏡のWFC3によって取得された天王星の画像を、今回の研究を元に補正したもの。線は北緯35度、南緯35度、および赤道それぞれの緯度を表しています。赤道方向を見ている2014年と極地を見ている2022年の画像を比較すると、その色が違うことが分かります(Credit: Patrick Irwin, University of Oxford)】

Irwin氏らは天王星の極地が赤道と比べてより多くの赤色や緑色の光を反射する理由として、極地の大気中に含まれるメタン (赤色や緑色の光を吸収する) が赤道の約半分と少ないこと、低温で固体の粒となったメタンの結晶が追加で赤色や緑色の光を反射するためであることも突き止めました。

  • Patrick G. J. Irwin. “Modelling the seasonal cycle of Uranus’s colour and magnitude, and comparison with Neptune”. (Monthly Notices of the Royal Astronomical Society)
  • Caroline Wood. “New images reveal what Neptune and Uranus really look like”. (University of Oxford) (EurekAlert!)
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