【船舶】イージス艦並!世界最速の大型フェリー あかしあ・はまなす 誕生背景と タンデム二重反転プロペラ推進を解説
【船舶】イージス艦並!世界最速の大型フェリー あかしあ・はまなす 誕生背景と タンデム二重反転プロペラ推進を解説

【船舶】イージス艦並!世界最速の大型フェリー あかしあ・はまなす 誕生背景と タンデム二重反転プロペラ推進を解説

新日本海フェリーの魅力について、そして世界最速のフェリーが採用するタンデム二重反転プロペラについて解説。

ざっくりとした説明はこの通りです。つまり24時間以内 (往復で48時間以内) で目的地に到着することで、折返し2隻で毎日運行が可能となる。そのためには保有船の高速化が必須だった、と言えます。それまでは3日おき、あるいは3隻就航しないとカバーできなかったダイヤがたった2隻でまかなえるようになるため、多少のコストをかけてでも、スピードと積載量を重視した、高性能船を発注しよう、という考えに至るわけです。敦賀 – 苫小牧航路では速力を絞った理由も毎日運行が達成できるのに必要十分な速力を確保し、燃費を優先したためになります。

あかしあ・はまなすの特徴: 所感
  • 他のフェリーより大きい:224mと197m、30mにも満たない差ですが、体感1.5倍ぐらい大きいです。
  • 大きいのでスピードが速いようには感じない。でも地図を見たら、たしかに速く到着したことを実感します。
  • 食事がおいしい & 比較的良心的価格食堂は新日本海フェリーが一番美味しいように思います。
  • 揺れる:日本海航路は天候が荒れやすく、天気が悪い時はめちゃくちゃ揺れます。

新型艦ということもあって、個人的には船内が広く、食事もおいしいすずらん・すいせんがイチオシです!揺れるのが無理な方には太平洋フェリーを推します。。。

管理人が一番良く乗る新潟航路:らべんだあの露天風呂 ここがすごいよ まとめ
  • 国内最大級のフェリー: 224m、16800t
  • 大型フェリーとしては世界最速:最大速力32ノット
  • 4基のエンジンを搭載し、出力も国内最強級:70000馬力

CRP仕組み

さて、いよいよ本題(?)です。タンデム二重反転プロペラとはそもそも何でしょう?結論から言うと、”アジマススラスター二重反転プロペラあわせ技”です。

このシステムは従来から存在する2つの仕組みをうまく組み合わせ、効率(=燃費)の改善と低コスト化を同時に達成した、建造当時は世界初のシステムでした。組み合わせることによって得られたメリットは大きく、既存船から22%もの燃費改善を達成しています。15年以上前に建造されているにも関わらず、2021年現在においても、新造船に匹敵する燃費を維持しているため、いかに先進的だったか分かるかと思います。

二重反転プロペラ(CRP)の仕組み
  • 一枚目のプロペラの空気の勢いを利用して二枚目のプロペラを効率良く使える
  • 同軸上に2枚プロペラを配置できるの省スペース性に優れる。

\( \vec> = \vec + \vec >\): 一枚目のプロペラから見た水の速度。実際の速度はViと同じですが、プロペラは回転するため、回転速度分だけ周速を持っているように見えます。

\(\vec> = \vec> + \vec> – \vec> \):二枚目のプロペラから見た\(\vec>\)。外から見ると同じベクトルですが、プロペラからみるとお互いに反対方向に回転しているので、あたかも反対側から勢いを持って流れてくるように見えます。

\( \vec> = \vec> – \vec> \):最終的にプロペラから出てくる水の速度。外から見た\(\vec>\)。二重反転プロペラのおかげで、周速は低くなっており、その分推進力が増えるため、効率が良くなります。

最終的に得られる推進力F:水の流量が \(Q\)とすると \( F

アジマススラスターの仕組み https://global.kawasaki.com/en/corp/sustainability/green_products/img/item_003_2018_01.jpg

上の落書きのように、ポッドを中心に360°回転することができ、船を進みたい方向に進ませることができます。また、スクリューのピッチ角を変更できるものが主流です。特に有名なものとしてはABB社の“Azipod”アジポッドという商標登録があり、アジマススラスターの代名詞ともなっています。詳細な構造は実際のスラスタの製造と船体への取り付けビデオが理解しやすいかと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=uSGyTK2PA80 長所を合わせた結果 https://www.mhi.com/jp/expertise/showcase/column_0006.html
  • 通常の推進軸を持つ船と比べて港湾での操縦性が非常に高い
  • Azipodを舵代わりにできるため、舵が不要:水の抵抗が大幅減
  • Azipodは電動のため、微速運転時には一部のエンジン停止して電力供給のみを行う等省エネ運転が可能
  • 二重反転プロペラの推進効率が高く、燃費、速力に優れる
実現における困難 一般論 建造コスト

2軸は1軸よりもお金がかかります。またAzipodも結構な高級品で、カーフェリーではなかなか使用するのは難しいです。ここでもタンデムレイアウトは効果を発揮します。通常の2軸に比べて1軸推進軸が少ないため、Azipod搭載による建造コストを相殺しています。また冒頭で述べた24時間で折り返し運転が可能、これを実現したことで、必要な船の数が2/3になり、高級船でも採算性が確保されました。

相互干渉による振動

タンデムレイアウトにおける一番の問題は振動です。これは通常の推進軸やAzipod単体のシステムよりも、舵と推進装置を兼ね備えたAzipod+二重反転プロペラで特に顕著になる傾向があり、また予想が難しいリスクがありました。図のように、プロペラが発生した周期的な流れ自体が、舵の機能も兼ね備えるAzipodにあたることで、大きな力を与えること、また発生渦から派生して細かい渦がたくさんできることにより、様々な部分が共振する恐れがあり、数値流体計算→有限要素解析を何度も繰り返して流れとポッドの挙動の予想が行われました。このような解析を練成解析と呼び、物体の変形と流れを同時に計算するため、正確に計算するにはかなり難易度が上がります。更には、Azipodは舵として回転するため、それぞれの角度では異なる挙動を示します。またスクリューの回転数も運転条件によって異なります。これらについても、それぞれの操舵角や回転数での解析を実施し、検証を行っています。