まもなく、今月の例会です! 演目はボロディンの『イーゴリ公』
まもなく、今月の例会です! 演目はボロディンの『イーゴリ公』 ■西欧社会とロシアとの接点
■西欧社会とロシアとの接点 「ロシア帝国」という広大な領土を持つ国家が現れたのは、16世紀半ば、「モスクワ大公国」が領土を拡大し始めた頃を起源として、1721年だとされています。こうして18世紀から19世紀にかけて様々な動きをして、1917年のロシア革命によって〈社会主義国家〉が誕生するまで、世界史の舞台で様々な動きを繰り返していたのがロシア帝国でした。モスクワを中心に東へ西へ南へと領土を広げていったのですが、フランスにナポレオンが現れた時代には、パリまで侵攻した時期も、また反対に、ナポレオン軍がモスクワ近郊まで侵攻した時期もありました。 西欧社会とロシアとの音楽における接点は様々で、多岐にわたってもいますが、ドイツ・オーストリアの音楽語法からの開放を目指していたフランス近代の作曲家ドビュッシー、ラヴェルなどが、ロシアの音楽に夢中になっていたという事実は興味深いことです。学生時代の彼らが、仲間の下宿部屋に集合する際に、ドアを叩く合図に、ボロディンの『交響曲第2番』冒頭旋律のリズムを使ったというのは有名なエピソードです。「オーケストラの魔術師」とも称えられたラヴェルの管弦楽法は、リムスキー=コルサコフの理論をもとにした、きらびやかなものでした。
■「ダッタン人の踊り」で有名なオペラ『イーゴリ公』 ロシアのオペラというとチャイコフスキーの作品がよく知られていますが、「ロシア5人組」のひとりボロディンの『イーゴリ公』も、しばしば話題になる作品です。 物語は、〈古代ロシア〉の英雄叙事詩『イーゴリ戦記』という作者不詳の書をもとにしたもの。ウクライナ共和国の北東部、現代のロシア国境あたりに今も残っている美しい古都「プーティヴル」という町を舞台に開始され、イーゴリ公が東へと向かって南下した際の、中央アジアの〈ポロヴェッツ人の陣営〉で繰り広げられる物語です。 ボロディンには交響詩『中央アジアの草原にて』という名曲もよく知られていますが、このオペラの中の『ダッタン人の踊り』は様々なポップス音楽にもアレンジされ、「ストレンジャー・イン・パラダイス」というタイトルで人気曲にもなっています。ボロディンの音楽は、厳しい寒さに耐えるロシアと、そこから抜け出そうとする東洋的な異国への憧れが、まじりあった世界だとも言われています。 ボロディンの憧れに満ちた名作を、ご堪能ください。
2026年2月の例会は、19日(木)、演目はギルバート&サリバンの『ミカド』です。
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■ロンドン仕込みの 「バーレスク」 は、「オペレッタ」 と同じ 〈根っこ〉 を持っている?
■『ミカド』 は、ほんとうに日本が舞台なのでしょうか?
2026年1月の例会は15日、演目はプッチーニ『ラ・ボエーム』です。
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今月の例会は、1 月15日1時05分開場、1時25分 開演です。会場は、いつもと同じ、川崎市国際交流センター。
ご参加は、年会費6000円(年12回鑑賞)、または、1回鑑賞券1500円のいずれか、当日、会場入口で受け付けます。
以下は、当日も解説してくださる音楽評論家の竹内貴久雄さんによる演目紹介です。
§『ラ・ボエーム』 の誕生と、その時代
2025年12月例会の鑑賞演目は、ウェーバー『魔弾の射手』です。
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§『魔弾の射手』 は、ドイツ・ロマン派の原点 『魔弾の射手』で舞台の中心――物語の《核》となるのは「森」です。ドイツの有名な童話と言えば「赤ずきん」や「ヘンゼルとグレーテル」がすぐに思い浮かびますが、それらはすべて「森」が舞台。そして、ゲーテもワーグナーも「森」が大好きです。ドイツ人の《心のふるさと》とも《思索の源泉》とも言われるのが「森」なのです。 ワーグナーはウェーバーに大きな影響を受けた作曲家として広く知られていますが、20世紀の偉大な指揮者のひとりフルトヴェングラーも、この『魔弾の射手』を、ドイツ人にとって最も重要なオペラだと讃えています。彼の死の年、最後となった1954年のザルツブルク音楽祭では、フルトヴェングラーの強い要望で『魔弾の射手』が上演され、その録音は今でも歴史的名演と言われています。 世界初の『魔弾の射手』全曲レコードは、第二次世界大戦の最中である1944年に、作曲者ウェーバーゆかりの地、ドレスデン国立歌劇場(通称:ゼンパー・オーパー)のメンバーによって録音されていますが、この歌劇場は、その数ヵ月後の空襲で跡形もなく崩壊しました。けれども、この歌劇場のメンバーが1982年、海外公演のひとつとして来日した際に、NHKホールでの演目に選んだのも『魔弾の射手』でしたし、1985年の記念すべき「ゼンパー・オーパー再建竣工記念公演」初日の演目も、この『魔弾の射手』でした。『魔弾の射手』がドイツオペラの原点であることの象徴と言えるでしょう。
§『魔弾の射手』のストーリー 舞台は17世紀の半ば、ボヘミア地域の森。この地で狩人をしているひとりマックスは、翌日に控えている「射撃大会」で良い結果が出せそうにないと悩んでいる。成績が悪いと、恋人アガーテとの結婚を認めてもらえないからだ。その弱みにつけ込んだ狩人仲間のカスパルがマックスを誘い、自分と悪魔との取引に利用する。そうとは知らずマックスは、カスパルの誘うままに「百発百中」を約束された悪魔の弾丸を手に入れる。だが、その魔弾には、カスパルと悪魔との取引によって、最後の一発に恐ろしい狙いが隠されていた、というものです。――結末は、当日のお楽しみです! このオペラからは、モーツァルト以来、ドイツ・オーストリア系の音楽でよく耳にするホルンの響きが何度も聞こえてきますが、それが森の狩人たちに由来していたことに、誰もが気づくことでしょう。村人たちの楽しげな踊りの音楽からは、ベートーヴェン、シューベルトを経てヨハン・シュトラウスへと連なる「コントルダンス」から「ウインナワルツ」までの流れを思い出させます。それほどに、このオペラには、その後さまざまな《枝葉》へと成長していったドイツ・ロマン派音楽の《幹》が隠されているのです。
■運営スタッフ募集のお願い■
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じつは、この会の運営にあたっては、例会当日の受付業務・入場者誘導のほか、小さな事務的な仕事が、毎月々々、いくつもあるのです。それを列挙すると、以下のようになります。この中のひとつでも、お手伝いいただけると助かります。・年会費の有効月の毎月チェック・毎月、新規入会者を会員名簿データに入力・登録会員名簿の管理+月1回の案内メール一斉送信・川崎市の広報誌への演目掲載依頼(2か月に1回)・お問い合わせメールへの返信・毎月、6カ月先の会場予約・解説書印刷室(中原区役所内)の予約(毎月、2か月先を申し込み)・印刷用紙の購入手配、持参・毎月の解説書の印刷、製本 毎月、うっかり忘れてしまっては大変なことが、いくつもあります。受付に用意する会員名簿も、会費納入期限との照合をして、毎月更新しています。 こんな、些細な仕事が、毎月、あるのです。学生時代のサークル活動の幹事や、会社の同好会仲間や町内会の世話役程度のことではありますが、歳と共に、こうした雑事が、少しずつ、こたえるようになってきました。 どうか、会員の皆さんの中で、ご協力下さる方が、お手を挙げてくださると、助かります。あるいは、会員の方のお子さんやお孫さんなど、ご家族がお手伝いくだされば、さらに、世代が繋がるかな、と勝手に夢を描いております。 どうか、ご検討くださり、私に、例会開催中の休憩時間にでも、お声がけください。あるいは、会のアドレスにてご連絡ください。(竹内貴久雄・記)
2025年11月例会の鑑賞演目は、モーツァルト『フィガロの結婚』です。
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2025年10月の例会は16日(第3木曜日)、演目マスネ作曲『マノン』です。
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■プッチーニのオペラと同じ原作で書かれた〈フランス〉のオペラ
■マスネ『マ ノン』は、甘く、せつなく、美しい……