【韓非子とは】時代背景から代表的な名言までわかりやすく解説
『韓非子』とは、中国の戦国時代の思想家である韓非が書いた思想書で、法治主義・富国強兵を唱えたことで知られています。「矛盾」などの言葉も『韓非子』から生まれています。この記事で詳しく解説します。
■『韓非子』引用
二に曰く、旁に在り。
何をか旁に在りと謂ふ。
曰く、優笑、侏儒、左右近習、此れ人主未だ命ぜずして唯唯、未だ使はずして諾諾。
意に先だち旨を承け、貌(かたち)を観、色を察し、以て主の心に先だつなり。
■日本語訳
二つ目は、傍らに在るものである。
何を傍らに在るものというのか。それは、道化、伽役、側近、近習、これらは君主がまだ命令する前から、はいはい、と言い、まだ何かをさせる前から、わかりましたわかりました、と言い、君主の意向に先んじてその旨に従い、表情や顔色を見て気持ちを察し、君主の心に先んじる者であり、皆が、共に進み、共に退き、口を揃えて応対し、言葉づかいをひとつにし、振る舞いを同じくして君主の心を誘導する者である。
意味は人のいいなりになることを指し、何事にも二つ返事で従うということですが、在旁の趣旨としては イエスマンの側近を利用した臣下の悪事を非難 するものになっています。
2-7:一顰一笑一顰一笑は『韓非子』内儲説 上に登場する言葉で、一瞬笑ったり微笑んだりする意味です。そこから、 ささやかな表情の変化や感情の変化 を指すようになりました。信賞必罰の説明でお話した「賞誉の術」に関連して述べられています。
2-8:螻蟻潰堤螻蟻潰堤は 小さな出来事が大きな事になる という意味です。『韓非子』喩老篇に登場する言葉です。喩老篇では過去の事件や逸話など引用して、老子の教訓が紹介されています。
具体的には堤防でもアリの作った穴から水が滲みて潰れることがあり、大きな家も隙間から入った煙で焼けてしまうと述べ、 事前の対策の重要性 について説いています。
2-9:虎に翼「虎に翼」とは、 元々勢いのある強者に、さらに力が加わること を言います。
『韓非子』難勢篇に登場する言葉で、とても有名な言葉です。韓非は徳や知恵などがあっても、権勢の前には歯が立たないと述べる一方で、それを 不肖者が持つと、天下を乱す原因になる と主張しています。この流れで、「不肖者を勢位に乗せるのは、虎に翼をつけるようなことである」と喩えています。
■『韓非子』引用
夫れ勢は治に便にして乱に利なる者なり。
故に周書に曰く、虎の為に翼を傅(つ)くる毋(なか)れ。将に飛んで邑に入り、人を択りて之を食らはんとす、と。
夫れ不肖人をして勢に乗ぜしむるは、是れ虎の為に翼を傅くるなり。
■日本語訳
そもそも勢位は世を治めるのに便利で、世を乱すのに役立つものである。
ゆえに周書に言う、虎に翼をつけてはならない、邑に飛び込み、人を取って食おうとするだろう、と。
不肖者を勢位に乗せるのは、虎に翼をつけるようなことである。
2-10:濫吹濫吹は本来無能な者が賢者の様に装うことを指し、 実力がないにも関わらず分不相応な地位にいること を意味します。
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created by Rinkerオススメ度★★★森三樹三郎『中国思想史』上・下(レグルス文庫/1978年)
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まとめ
- 『韓非子』は法家の韓非が著した思想書で、「礼」よりも「法」を重視することや富国強兵を唱えた
- 『韓非子』からは「矛盾」「信賞必罰」など現代にも伝わる言葉が生まれた