河井酔茗の詩「ゆずり葉」
河井酔茗の詩「ゆずり葉」

河井酔茗の詩「ゆずり葉」

今回は、河井醉茗(かわいすいめい)の「ゆずり葉」という詩をご紹介します。【動画】(詩の朗読と鑑賞)河井醉茗「ゆずり葉」ゆずり葉子供たちよ。これはゆずり葉の木です。このゆずり葉は新しい葉が出来ると入り代わって古い葉が落ちてしまうのです。こんなに厚い葉こんなに大きい葉でも新しい葉が出来ると無造作に落ちる新しい葉にいのちをゆずって――。子供たちよお前たちは何をほしがらないでもすべてのものがお前たちにゆずられるのです太陽のめぐるかぎりゆずられるものは絶えません。かがやける大都会もそっくりお前たちがゆずり

子供たちよ。 これはゆずり葉の木です。 このゆずり葉は 新しい葉が出来ると 入り代わって古い葉が落ちてしまうのです。

こんなに厚い葉 こんなに大きい葉でも 新しい葉が出来ると無造作に落ちる 新しい葉にいのちをゆずって――。

子供たちよ お前たちは何をほしがらないでも すべてのものがお前たちにゆずられるのです 太陽のめぐるかぎり ゆずられるものは絶えません。

かがやける大都会も そっくりお前たちがゆずり受けるのです。 読みきれないほどの書物も 幸福なる子供たちよ お前たちの手はまだ小さいけれど――。

世のお父さん、お母さんたちは 何一つ持ってゆかない。 みんなお前たちにゆずってゆくために いのちあるもの、よいもの、美しいものを、 一生懸命に造っています。

今、お前たちは気が付かないけれど ひとりでにいのちは延びる。 鳥のようにうたい、花のように笑っている間に 気が付いてきます。

そしたら子供たちよ。 もう一度ゆずり葉の木の下に立って ゆずり葉を見るときが来るでしょう。

河井醉茗は、1874年(明治7年)5月7日 に生まれ、 1965年(昭和40年)1月17日に没。日本の詩人。

2021/02/07 17:03

通りすがりですが、コメントさせていただきます。 「ゆずり葉」は、大好きな詩です。 幼稚園の卒園文集に載っていたことに、大人になってから気づきました。岐阜県の加納幼稚園という幼稚園です。先生方はこういう気持ちでおられたのだな、としみじみ感じます。 > そしたら子供たちよ。 > もう一度ゆずり葉の木の下に立って > ゆずり葉を見るときが来るでしょう。 特にこの、最後の部分が好きです。 仰るように、ゆずり葉の木を見上げる人が、少なくなっているように思います。 伝えることもそうですし、きちんと譲ることもそうです。 無造作に落ちる葉の、その幸せな気持ちを味わう日を、楽しみに生きていこう、と私は思います。

2021/05/08 12:39 2023/04/30 00:23 2021/03/27 11:41 2022/12/13 20:34 2021/04/07 09:11 庭のゆずり葉が新しい芽と花を付けてきました。 ゆずり葉の詩を思い出しました。全部を思い出せなかったので検索しました。 有り難うございます。 2021/10/10 17:14 先日、娘の結婚式で 新郎の両親が朗読してくれました 知っている詩でしたが 娘たち夫婦の門出にふさわしい詩だなって 感動しました 自分もまた詩の朗読したいなぁと 詩の力はすごいです 2022/01/01 00:02 堺市中央図書館の前庭にこの詩の石碑があります。 2022/02/23 12:09

「素晴らしいもの、美しいもの、大切なものを子供たちに伝えてゆくという発想が、現代社会にはそもそもないように感じられて仕方がありません。」とありますが、子育てをしている世代では、決してそんなことはないのでは? 特に私たちは高年になって子供を授かったせいかもしれませんが、できるだけ私たちのすべてを子供に譲って行きたい、と願っています。成功談、失敗談、読んだ本、暗証している漢詩や和歌など。家庭内で他人を批判せず、どんなことでも褒めて育てるのもその一環かと。それは子育て世代に共通ではないでしょうか? 最後の一節は、君が大人になって譲る立場になった時、彼女のすべてを「新しい葉」に譲る気持ちで、もう一度ゆずり葉を見るときが来るでしょう、という意味と理解しています。