甲状腺に所見を認めたら・・?これって精査が必要?甲状腺エコーの基本・疾患と見るべきポイント
どーも、もんたです。今回は甲状腺疾患についてや っていこうと 思います。エコーではオーダーとして甲状腺とでたから検査する他に、頸動脈エコーをしているときに見えるので、そこで所見をみつ け指 摘することもしばしばあります。そこであまり見慣れて...
甲状腺は喉仏の下辺りの位置にあって、気管を抱き込むようについていて女性は首の真ん中辺り、男性は首の根元辺りにあります。 右葉・左葉・峡部からなり柔らかく、蝶のような形 をしています。 大きさは健常人で横:10〜20mm、縦:40〜50mm、厚み:10〜20mm、重量:男18〜20g、女15〜18gであり男性のほうが少し大きいです。 甲状腺の背側には 副甲状腺(上皮小体) が通常左右それぞれ上下の2腺ずつ存在します。 大きさは長径:3mm、重量:10〜20gで楕円形、扁平 です。 通常エコーでは観察困難ですが腺腫や過形成などでは被膜を有し甲状腺より低エコーな像として描出されます。 検索部位は横走査時は甲状腺両葉の背(下)側、縦走査時は上極、下極の背(下)側です。
エコーでの観察項目検査時は 仰臥位 で首を伸ばしてもらうため、 枕を無くすか首の下にタオルを丸めていれます 。 腰が曲がっている人などその人に合わせて患者さんの無理のないようにしていきます。 観察するときは次の項目について観察していきましょう。
- 大きさ:萎縮、腫大・・
- 形状:表面の凹凸・・
- エコーレベル:低エコー・・(基準は胸鎖乳突筋)
- 血流状態:増加・・
- 腫瘤などの有無:低エコー腫瘤、石灰化、嚢胞・・
- 形状:整(円形、楕円形・・)、不整(分葉状、カリフラワー状・・)
- 境界:明瞭性(明瞭、不明瞭)、性状(平滑、粗雑)
- 内部エコー:エコーレベル(高、等、低、無)、均質性(均質、不均質、粗雑)
- エコーパターン:嚢胞性、混合性、充実性
- 後方エコー:増強、不変、減弱、消失
甲状腺の疾患
甲状腺の疾患には大きく分けてびまん性の疾患と腫瘤性の疾患と2種類あります。 びまん性は主に甲状腺機能の障害で腫瘤性疾患はその名の通り良性腫瘍と悪性腫瘍とがあります。 それでは詳しく見ていきましょう。
機能障害機能が亢進 (ホルモンの合成や分泌が過剰)すると全身の代謝が異常に高まります。代表的なものに バゼドウ病 があります。 逆に 機能の低下 (ホルモンの合成や分泌が低下)すると全身の代謝が低下します。代表的なものは 橋本病 です。
この 機能障害は 免疫機能の誤作動 で発生 します。
バゼドウ の場合は 甲状腺を刺激する抗体 ができる ことで異常をきたします。
橋本病 は リンパ球に誤作動が起こり攻撃 します。これにより細胞が傷つきホルモンが作られなくなり機能低下を起こします。
びまん性病変の判定フロー 甲状腺機能亢進症(バゼドウ病)- 自己免疫疾患
- 女性に多い(男:女=1:5~6)
- 20~50代に多く中でも30~40代に多い
- 症状は甲状腺腫、動悸、多汗、手の震え、体重減少、眼球突出など
- FT3↑、FT4↑、TSH↓
- 治療は薬物療法、アイソトープ療法、手術など
- 両葉の腫大(峡部はあまり目立たない)
- 実質の低エコー化
- 辺縁の凹凸は目立たない
- 慢性的に炎症が起きている。
- 女性に多い(男:女=1:20~30)
- 20代後半以降特に30~40代が多い。
- 症状はむくみ、徐脈、寒気、体重増加
- FT3↓、FT4↓、TSH↑(甲状腺ホルモンが低下し甲状腺を刺激するTSHが増える)
- 治療は薬物療法(甲状腺機能低下が起きている場合)など
- 機能が正常の場合基本特に治療はない
- 峡部も含めて全体的に腫大する
- 表面は不整
- 実質は低エコーになり不均一となる。線状高エコーなども現れる。
- 痛みを伴いその痛みの場所が移動する場合もある。
- 男女比は1:7年齢は30代から50代に多い。
- CRP↑、FT4↑、TSH↓
- 甲状腺に腫大はない
- 不規則に低エコー域がみられる(痛みと一致した位置に見られる)
- 病理組織学的には甲状腺が非腫瘍性・結節性増殖により腫大する多発性病変をいう
- 結節の数や大きさ、内部性状は様々
- 出血、壊死、嚢胞形成、結合性の増生、石灰化など二次的変化を伴う腫瘤と、充実性の腫瘤が共存してみられる
- 甲状腺機能亢進や甲状腺ホルモン合成障害がある場合も多結節性に腫大することがある
- 単発性、多発性にみられる
- 形状は円形や類円形
- 境界は明瞭~不明瞭(境界部の低エコー帯は認めないことが多い)
- エコーレベルは等~低エコー
- 性状は均質~不均質(無エコーと高エコーの混在)
- ドプラシグナルは腫瘤内部に比べて、周辺や辺縁部に多くみられる。
- 腫瘤があって甲状腺の腫大がなければ腺腫様結節、腫大があれば腺腫様甲状腺腫とする。
- 痛みのないしこり
- ゆっくり発育していく
- 原因は不明
- 濾胞癌との区別が難しいことも多い。
- 手術が必要な症例:腫瘤径40mm以上で硬い、サイズが増大傾向、気道や食道を圧迫している、腫瘍が縦隔にに侵入し ているなど
- 形状は整で楕円形
- 充実性成分+嚢胞性部分
- 充実成分の内部エコーは均一なことが多い
- 腫瘍辺縁に皮膜を持つためそれを示す低エコー帯を有する。
- 甲状腺癌の中で一番多い(85〜90%)
- 発育はゆっくり
- 頸部リンパ節の転移が多く肺や骨など遠隔転移は少ない
- 低危険度と高危険度で分けられる。
- 血行性転移があるものや高齢者、5cmを超える大きいものや甲状腺皮膜外まで浸潤するものを高危険度という
- 痛みはなくしこりやリンパ節の腫れ程度
- 2〜5%の確率で家族内発症がある
- 治療は甲状腺の切除と頸部リンパ節の郭清
- 形状は不整で不定形
- 内部エコーは低
- 微細or粗大な石灰化像を伴うことが多い
- 甲状腺癌の約5%程を占める
- 痛みがなくしこりのみ
- ゆっくり発育する
- 微小浸潤型と広範浸潤型に分けられ前者は濾胞腺腫と似ているため鑑別が困難である。後者は浸潤像が明瞭または範囲が広く血行性転移が50〜80%あり癌死率が50%と高い。
- 濾胞癌を疑い手術が考慮される場合は腫瘍が硬く、表面が不整、サイズの増大、腫瘍径40mm以上、サイログロブリンが異常に高い(1000ng/ml以上)
- 微小浸潤型は濾胞腺腫と似ている。表面が凸凹していたら癌を疑う。
- 広範囲浸潤型は文養生に低エコー腫瘤を認める
- 内部に石灰化像を示し厚い被膜を有する。
エコーだけでは良性と悪性となかなか鑑別が難しいところもありますが 経過観察で良いのか、細胞診など精査をしたほうが良いのか良悪性の区別をしていかなければなりません。 この鑑別をどのようにしていけば良いか。 日本超音波医学会より甲状腺結節(腫瘤)超音波診断基準 が出されておりこちらを参考にまとめていきます。
主所見 良性 悪性 形状 整 不整 境界の性状 明瞭平滑 不明瞭粗雑 内部エコー 高〜低エコー 均質 低エコー 不均質 副所見 微細高エコー なし 多発 境界部低エコー帯 整 不整orなし内部エコーが高〜等エコーの場合 は 良性所見 として、 所属リンパ節の腫脹 は 悪性 所見として有用です。 ただし 10mm以下の微小乳頭癌、微小浸潤型濾胞癌、髄様癌、悪性リンパ腫などは良性所見を示すことがあり、逆に亜急性甲状腺炎、腺腫様甲状腺腫などは悪性所見様に見えたりするので注意が必要です。 僕自身なかなか難しく感じていて上記のエコー所見だけでは悩むことが多いです。 そこで僕は悩んだとき特に初指摘時には サイズ を目安として精査の判断 をしています。 実際 甲状腺超音波診断ガイドラインにも経過観察か精密検査かを判断するためのフローの中にサイズが入っています。
腫瘤があったときはその腫瘤が嚢胞性か充実性か、サイズはどうか。 充実性でサイズが大きいときに微細高エコーがないかなど性状をみて悪性所見がないかをみて判断。 という順番になります。
まとめ
今回甲状腺のエコーを行うにあたっての基礎知識をまとめてみました。 なかなかエコーだけ診断が難しい部分も多いですが何かあってそれが経過観察でいいのか、精査をしたほうが良いのかはある程度判断ができます。 特に症状がなく頸動脈エコーをやったり、検診でたまたまみつかったりするケースも多いです。 そんなとき次に繋がるような検査ができるといいですね。 少しでも参考になれば良いです。