【書評】『パウロの弁護人』 世界的な新約学者が描く初代教会をめぐる思想小説 臼田宣弘
【書評】『パウロの弁護人』 世界的な新約学者が描く初代教会をめぐる思想小説 臼田宣弘
もはやユダヤ人かそうでないか、自由人か奴隷か、男か女かの区別はありません。わたし自身がその証人です。なぜなら、わたしは奴隷だからです。わたしの主人はローマにいるフィレモンでした。彼はわたしを自由身分の扱いにして、キリストに仕える者としてくれたのです。したがってわたしは今現になお奴隷ですが、あなたがたはそのわたしをこの集まりの指導者に選んだのです。
こうしたことがこの世界のどこで可能でしょうか? 世界の他のどこで、最下層の人間が主導権を揮(ふる)うということがあるでしょうか? しかしそれがこのわたしたちの集まりでは可能なのです。そのわけは、わたしたちがそろってキリストを模範として目の前に持っているからです。彼は最高に高いところにいました。そして神とひとしい者でした。そのキリストがありうべき最も下賎(げせん)な役割、世界中で一番低い奴隷の役割、それも十字架で処刑される奴隷の役割を自分の身に引き受けられたのです。
キリストは今まさにこの時に十字架で処刑される奴隷たち全員の側についておられます。そのイエスは死後、神と同じ身分を授けられました。だからわたしたちは彼を通して学ぼうではありませんか。高いものは低められ、低いものは高められるのです。神の前では、上にある、下にあるは、もはやないのです。
しかしこの世の中の進み方はそれとは違います。今日この日に、四百人の奴隷たちが処刑されます。そのうちの一人が主人を殺したというのがその理由です。(273~274ページ)
■ ゲルト・タイセン著、大貫隆訳『パウロの弁護人』(教文館、2018年4月)
臼田宣弘
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