ヒ化ホウ素
ヒ化ホウ素(BAs)は、ホウ素とヒ素からなるIII-V族半導体です。非常に高い熱伝導率を有し、次世代電子機器の熱管理材料として期待されています。その合成は難しく、純粋な単結晶を得るには多くの課題がありますが、近年、その熱伝導率に関する研究が進み、実用化に向けた取り組みが加速しています。
ヒ化ホウ素は、格子定数0.4777 nm、間接バンドギャップ1.82 eVという物理的性質を持ちます。融点は2076℃と非常に高く、920℃を超えるとB12As2に分解することが知られています。興味深いことに、その熱伝導率は室温において約1300 W/(m・K)と非常に高く、これはダイヤモンドやグラファイトに匹敵する値です。しかし、純粋なヒ化ホウ素の合成は非常に困難であり、現在得られている単結晶は常に何らかの欠陥を含んでいます。この欠陥の存在が、熱伝導率の測定値に影響を与える可能性があります。
関連化合物:亜ヒ化物 高熱伝導率と電子機器への応用 熱伝導率に関する理論と実験第一原理計算では、ヒ化ホウ素の熱伝導率は室温で2200 W/(m・K)以上と予測されていましたが、初期の実験では欠陥の影響により、190 W/(m・K)という低い値しか得られませんでした。フォノン散乱を考慮した最新の第一原理計算では、1400 W/(m・K)と予測され、その後、欠陥の少ない結晶の合成に成功したことで、この予測値とほぼ一致する1300 W/(m・K)という測定値が得られました。少量の欠陥を含む結晶では、900~1000 W/(m・K)程度の熱伝導率を示します。