楓 : 特集
楓の必見、注目特集。特集では編集部独自の視点で魅力を紹介。
【“今年最大級”に切なく、驚き、そして涙が流れた】双子の弟が、事故で亡くなった。僕は、弟の恋人のために“弟のフリ”をした――“私の推し”年末年始映画は本作【界隈で話題沸騰中の「楓」を編集部が徹底レビュー】
その作品タイトルは、 「楓」 (12月19日公開)。
行定勲監督(「世界の中心で、愛をさけぶ」)の手によって、 国民的アーティスト「スピッツ」の楽曲が初めて映画となり、 福士蒼汰、福原遥が共演しています。
なぜ、こんなにも忘れられない映画体験になったのか――? レビューのなかで、本作が 「“今年最大級”に切なく、心が震え続けた」理由 を語っていきたいと思います。
まずは、 “予告編の時点で珠玉の物語” を見て、余韻に浸ったうえで、読み進めてみてください。
ニュージーランドの不慮の事故で双子の弟・恵を失った涼(福士/一人二役)。恵の恋人・亜子(福原)は事故の混乱で、目の前に現れた涼を恵だと思い込んでしまう。 咄嗟に弟のフリをした涼 は、本当のことを言い出せないまま恋人のような時間を過ごすうちに、明るく真っ直ぐな亜子に惹かれていく。
涼と恵を最も理解する幼なじみ・梶野(宮沢氷魚)繊細な映像美で紡がれる、喪失と再生の物語。それぞれが抱える 「愛するからこそ、伝えられなかった本当の想い」 が筆者に 切なさと共感と感動 を、そして “ネタバレ厳禁な展開” が 途方もない驚き を与えてくれました。
「楓」は、ポップに楽しめる軽めのラブストーリーではなく、 “一生忘れたくない大切な何か” を受け取ることができる、良質な作品。
それもそのはず、メガホンをとったのは「世界の中心で、愛をさけぶ」「劇場」などで知られる 名匠・行定勲監督。 そして脚本は「ソラニン」や「東京リベンジャーズ」シリーズなどの 髙橋泉。
この強力なタッグによって、 巧みなメタファーやモチーフ が物語の随所に盛り込まれ、他作品とは異なる類いの “奥行き” が生まれています。
本作がこれほどまでに“良質”だと感じる理由は、こうしたセリフや表面的な芝居だけに頼らない、 画面の隅々にまで行き届いた演出 にあります。ふと映り込む景色や小道具、文字、光の加減、鏡の反射……そのひとつひとつが物語の行く末やテーマを暗示しており、観客はスクリーンから一瞬たりとも目が離せなくなるのです。
そうした“緻密に構築された世界観”のなかで、 福士蒼汰と福原遥が見せる熱演もまた格別。 なぜ亜子は、恵と涼を間違えたのか? なぜ涼は真実を伝えられず、恵のフリをするのか? それらの全てが、言葉にできない感情も含めて、表情や佇まい、言葉の端々、そして沈黙から、 痛いほどに伝わってきます。
●【なぜこんなに“驚き”があるのか?】高校時代の写真、約束した惑星探しと望遠鏡、亜子が不安になると呟く言葉…脚本にちりばめられた“感情の伏線”が見事! 鑑賞後、語りたくてたまらなくなる!! 高校時代の思い出
それは、本作が単純な物語の枠に収まらない、 “極上ミステリー”のような構造 も持っていること。前半でちりばめられた謎や秘密が、後半に一気に回収され、怒涛の展開、予想を超えるラストが訪れる―― そして、“驚き”が“感動”に変わるのです。
これからご鑑賞される方のために、 より“伏線”を楽しむ補助線 を記しておきます。
劇中では、センチメンタルなアイテムやモチーフが数多く登場します。高校時代の写真、かつて約束した彗星探し、望遠鏡、そして亜子が繰り返す「バターが溶けて、流れ込んでいく」という意味深な言葉……。実はこれら全てが、単なる演出ではなく、 登場人物の切ない想いが込められた“感情の伏線” なのです。
終盤のカタルシスはまさに圧巻。点と点が繋がり、予想もしなかった真実が浮かび上がった瞬間――筆者は 「こんなに大きくて尊い愛が、ここにはあったんだ」 と言葉を失いました。
最後にお伝えしたいのは、 発表から27年経った今も愛され続け、歌い継がれる名曲「楓」の力 によって、生涯忘れられない鑑賞体験となったこと。
映画館の大スクリーン&上質な音響に包まれながら、耳を傾けてみてください。劇中の大切なシーンで 「SUPER BEAVER」渋谷龍太や十明がカバーする、さまざまなアレンジの「楓」 が流れ、 沸々と思いが高まっていきます (個人的には、楽曲が流れるタイミングの“共通点”にも注目してほしいと思います)。
そしてエンドクレジットで流れる 本家「スピッツ」による「楓」――。 「さよなら 君の声を 抱いて歩いていく」「瞬きするほど長い季節が来て 呼び合う名前がこだまし始める」。涼と恵と亜子の姿が重なり、歌詞が今まで以上に心に沁みて、沁みて、突き刺さってくる感覚を覚えました。
劇場に向かう道すがら、私は「楓」を聞いていました。しかし、本作の「楓」は “さらなる傑作” として全身に響きわたりました。
もともと好きな曲でしたが、本作で聞く「楓」は “生涯最高の「楓」”のひとつ になったのです。だから鑑賞以降、この曲を聞くたびに、切なくも温かい愛の物語が鮮やかによみがえり、胸がぎゅっとなる。
「First Love 初恋」「366日」などに続く、 名曲と物語が分かちがたく結びついた、新たな名作―― 空気が澄んだ寒い冬に、ニュージーランドの息が止まりそうに美しい星々の輝き、そして雪を溶かすほどのあたたかい感動を、映画館で存分に味わってみてください。
PRESENTED BY アスミック・エースインタビュー
福士蒼汰は“そこに立っているだけ”ということができる人 行定勲監督と“名曲の映画化”に挑んだ日々関連ニュース
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