【幾山河越えさり行かば寂しさのはてなむ国ぞ今日も旅ゆく】徹底解説!!意味や表現技法・句切れなど
【幾山河越えさり行かば寂しさのはてなむ国ぞ今日も旅ゆく】徹底解説!!意味や表現技法・句切れなど

【幾山河越えさり行かば寂しさのはてなむ国ぞ今日も旅ゆく】徹底解説!!意味や表現技法・句切れなど

「短歌」は、五・七・五・七・七の合計三十一文字で、美しい自然の事象や人の心の機微、人生の哀歓をうたい上げます。 日本人は、古代から三十一文字で様々な美しい歌、すばらしい歌を作り上げてきました。

日向市出身の若山牧水は、北原白秋らと並び「早稲田の三水」と呼ばれ、多くの情熱的な和歌を残しました🗻 宮崎の中高生はよく若山牧水短歌賞に参加してると思います。笑 また、そんな彼の功績を称えた若山牧水記念文学館が日向にあるので、同郷の偉人について勉強してみるのも粋かもしれませんね😌 pic.twitter.com/Jqi7pQFRxX

— 宮崎県民総活躍委員会 (@invigo_miyazaki) October 6, 2017

この歌の出典は 『海の声』と『別離』 です。

現代語訳と意味 ( 解釈 )

この歌を 現代語訳 すると・・・

「いくつかの山や川を越えて行ったら、寂しさがはてる国にたどり着けるのだろうか ( いや、たどり着けないだろう ) 。その思いを胸に、今日も旅を続ける。」

文法と語の解説

「幾山河越えさり行かば寂しさのはてなむ国ぞ今日も旅ゆく」の句切れと表現技法

句切れ

句切れとは、 一首の中での大きな意味上の切れ目のこと で、読むときもここで間をとると良いとされています。

この歌は「はてなむ国ぞ」で一旦文章の意味が切れます。四句目で切れていますので、 「四句切れ」 の歌となります。

反語表現

反語とは、 断定を強調するために、言いたいことと反対の内容を疑問の形で述べる表現技法 です。

「はてなむ国ぞ」は反語的な表現となります。「 ( 寂しさが ) はてる国はあるのだろうか、いや、ないに違いない」という意味です。

反語表現を使うことにより、 断定を強調し、歌の味わいがより深いものになっています。

「幾山河越えさり行かば寂しさのはてなむ国ぞ今日も旅ゆく」が詠まれた背景

この歌は、牧水が早稲田大学在学中に、 実父の見舞いを兼ねて宮崎に帰省したときの旅の歌 です。

明治 40 年 (1907 年 ) 夏の有本芳水宛の葉書には、この歌の制作のいきさつが書かれており、「幾山河…」の歌も記されています。制作のいきさつについては、以下のように書かれています。

『寝床に入ったが、寂しさが身に沁みて寝つかれない。夜ふけの山中はただ風の音と、谷川のせせらぎが聞こえるばかりである。さびしさのあまり歌ができた。』

また、この歌には当時、牧水が恋い慕っていた女性、 園田小枝子への深い思いがこめられているのではないか という説もあります。

明治 39 年 (1906 年 ) 、早稲田大学の学生だった牧水は、神戸で人妻・園田小枝子と出会います。明治 40 年 (1907 年 ) 、東京にいる牧水のもとを小枝子が訪問。牧水の学友の日高が、東京で自活したいと言っている小枝子を手助けしてくれるよう牧水に頼んだのです。はじめはそれほど親しい仲ではなかった二人でしたが、牧水は小枝子に徐々に惹かれていきます。

小枝子は別居してはいますが、夫と 2 人の子供がいる人妻。 決して許される恋ではありませんでした。

のちに牧水と小枝子は結ばれることとなりますが、 「幾山河…」の歌を詠んだのは、牧水が一方的に小枝子に思いを寄せて苦悩していた時期 でした。明治 40 年 (1907 年 ) 前後の牧水の歌のほとんどが、小枝子への思いを切々と訴える内容のものです。

「幾山河越えさり行かば寂しさのはてなむ国ぞ今日も旅ゆく」の鑑賞

「寂しさのはてなむ国ぞ」は短いですが、 胸に迫る表現 です。

単なる旅の歌であれば、「ひとりで旅することの寂しさ、孤独」を表す表現ですが、 牧水の胸の中に棲みついている、より深い寂しさを表している ように思えてなりません。

誰と話をするでもないひとり旅の最中だからこそ、小枝子への溢れる思いが、歌となって形作られたのかもしれません。

作者「若山牧水」を簡単にご紹介!

若山牧水 ( 本名:若山繁 ) は、明治 18 年 (1885 年 ) 、宮崎県東臼杵郡 ( 現・日向市 ) の医師の長男として生まれました。早稲田大学文学科に入学、同級生の北原白秋、中林蘇水らと交流を深めます。

早稲田大学卒業後、明治 41 年 (1908 年 ) に処女歌集『海の声』を出版。明治 43 年 (1910 年 ) には代表作のひとつである『別離』を出版しました。『別離』は主に小枝子との恋愛を描いた作品集です。

のちに歌人・太田喜志子と知り合った牧水は、「私を救ってほしい」と喜志子に求愛。ふたりは結ばれ結婚します。 2 男 2 女に恵まれ、穏やかな家庭を築いた牧水ですが、その心の中には常に小枝子が棲んでいたとも言われています。

「若山牧水」のそのほかの作品

  • 白鳥は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ
  • うら恋しさやかに恋とならぬまに別れて遠きさまざまな人
  • 白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけり
  • たぽたぽと樽に満ちたる酒は鳴るさびしき心うちつれて鳴る
  • 足音を忍ばせて行けば台所にわが酒の壜は立ちて待ちをる
  • うす紅に葉はいちはやく萌えいでて咲かむとすなり山ざくら花
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  • 1 「幾山河越えさり行かば寂しさのはてなむ国ぞ今日も旅ゆく」の詳細を解説!
    • 1.1 作者と出典
    • 1.2 現代語訳と意味 (解釈)
    • 1.3 文法と語の解説
    • 2.1 句切れ
    • 2.2 反語表現

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