縞帖(縞帳)とは?縞帖(しまちょう)の特徴から手紡ぎ糸から紡績糸へ、天然染料から化学染料への変化を読みとる
縞帖(縞帳)とは?縞帖(しまちょう)の特徴から手紡ぎ糸から紡績糸へ、天然染料から化学染料への変化を読みとる 年号の明記してある縞帖を見ると、 徳川中期のものには明るい地色が多く、 天保 てんぽう あたりから紺地が、そして明治に入ると縞に濃茶が目立って くる。 明治の十年頃までは 殆 ほとん ど 経緯 たてよこ 共 手紡 てつむぎ であり、それ以後色糸に 紡績糸 ぼうせきいと
年号の明記してある縞帖を見ると、徳川中期のものには明るい地色が多く、 天保 てんぽう あたりから紺地が、そして明治に入ると縞に濃茶が目立ってくる。
明治の十年頃までは 殆 ほとん ど 経緯 たてよこ 共 手紡 てつむぎ であり、それ以後色糸に 紡績糸 ぼうせきいと が使われ、次第に 経 たて が紡績に、明治三、四十年になると手紡糸は程ど見られなくなってしまう。
手紡糸であることは、 丹波 たんば とか 弓浜 ゆみはま を除いて明治中期以前のものということができよう。『庶民の染織』
明治10年頃(1877年)までは、基本的には経糸と緯糸に手紡ぎ糸が使用されていますが、明治30年(1897年)から明治40年(1907年)になると、ほどんどの織物において機械で 紡績 ぼうせき された糸が使用されている(手紡ぎ糸がほとんど見られない)と岡村吉右衛門は指摘しています。
手紡ぎ糸から紡績糸へ
手紡 てつむ ぎ糸から 紡績糸 ぼうせきいと に変わっていったのには、イギリスから機械生産による規格の統一された安価な綿糸や綿織物が大量に輸入されてきたことが背景にあります。
ハーグリーブス紡績機が発明された1764年は、日本において 明和 めいわ 元年にあたります。
機械で紡績された糸は、江戸時代末期に琉球を経由して輸入されたことがあったようですが、 嘉永 かえい 6年(1853年)にペリーが来航し、日米和親条約が1854年に締結され、日本が開国したことが大きな契機となります。
安政 あんせい 5年(1858年)に 日米修好通商条約 にちべいしゅうこうつうしょうじょうやく が締結されると、後に、同じような条約をイギリス・フランス・オランダ・ロシアとも結びます。
これによって、大量の 機械紡績糸 きかいぼうせきいと が輸入されることになったのです。
機械紡績糸は、 唐糸 からいと や洋糸と称し、従来の和紡糸にくらべると、 強伸度 きょうしんど よく、 堅牢 けんろう で、染色性も美しく、糸ムラも少ないため、明治4,5年から10年頃(1877年)にかけて非常に多く輸入されました。
洋糸を経糸にして、和紡糸を緯糸にした木綿布を「半 唐木綿 とうもめん 」と呼び、経緯を共に洋糸にしたものは「丸 唐木綿 とうもめん 」といいました。
明治15年(1882年)ごろになるとエジプト綿を用い、表面の 毛羽 けば をガス焼きした細糸がイギリスからたくさん輸入されるようにもなります。
日本国内での機械紡績が始まる明治時代前期の商人であった 鹿島万平 かしままんぺい (1822年〜1891年)によって民間で最初の紡績工場である「 鹿島紡績所 かしまぼうせきじょ 」が設立され、明治5年(1872年)から操業を開始し、東京紡績に吸収合併される明治21年(1888年)まで続きました。
洋式機械の紡績工場であった 鹿島紡績所 かしまぼうせきじょ は、現在の東京都練馬区石神井に位置する、東京北豊島郡滝野川村で稼働しており、動力はイギリス製の銅鉄製水車で、紡績機械はイギリス製でイギリス人を指導者に招くことによって、明治5年(1872年)から綿糸を作ることができました。
このような手紡ぎから紡績糸への転換期が、 縞帖 しまちょう からも読みとれるのです。
天然染料から化学染料へ
縞帖 しまちょう に貼り付けられた裂が、実際にどのような染料で染められたものかどうかは、はっきりとわかりませんが、天然染料で染められたかどうかは、明治35年(1902年)頃がターニングポイントになると考えられます。
つまり、それ以前に制作された 縞帖 しまちょう であれば、天然染料で染められている 裂 きれ の可能性が高いと考えられます。
藍染の原料作りが盛んであった現在の徳島県では、明治35年(1902年)頃が栽培の最盛期でした。
『百種染色見本鑑 全』明治37年(1904年) 染織新報社
『百種染色見本鑑 全』明治37年(1904年) 染織新報社
『百種染色見本鑑 全』明治37年(1904年) 染織新報社
『百種染色見本鑑 全』明治37年(1904年) 染織新報社
- 岡村吉右衛門(著)『庶民の染織』
- 『江戸・明治藍の手染め』愛知県郷土資料刊行会
- 高橋 キヨ子 (著), 佐藤 和子 (著)『縞帳を尋ねて-郷土の織りの伝承』
Japanese Textiles, Traditional Patterns & Color —— 色や素材、デザインについて ——